一般財団法人 仁和能楽學舎|にんがく一般財団法人 仁和能楽學舎|にんがく

能楽は完全分業制のため各役に明確な役割があります。
シテ方・ワキ方・狂言方・囃子方と分かれ領域を跨いで仕事をすることはありません。

わたしたちはそんな職種ごとの専門性が能楽の魅力の一つと考えています。
気に入った職種から能楽の楽しみ方を見つけてみるのも面白いかもしれません。

シテ方

坂井 音雅

Otomasa SAKAI

昭和49年生まれ|青山学院大学卒
観世流 シテ方能楽師|重要無形文化財総合認定

「観るだけで十分、という人にこそ学んでほしい」

 

能楽の魅力は、なんといっても繊細かつ緻密な所作と、美しい日本語で情景を表現できる豊かさ。そして、台本をもとに誰もが舞うことのできる完成度の高さです。そんな話をすると、「だけど、能楽は難しいのでしょう」と返す人がいます。本当にそうでしょうか?私は、難しければ難しいほど上達する楽しさ、おもしろさがあると思います。見所から観賞したり、観阿弥と世阿弥が残した書物を読んだりするなかにも多くの学びはあるでしょう。ですが、これらが凝縮された舞台に身を投じてこそ、先人が残そうとした訓えとは何かを紐解けるはずです。最初は、白足袋のこはぜを留める清々しさ、和服に腕をとおす気持ち良さを知るだけでも十分です。能楽師が数百年にわたり受け継ぎ、磨き上げてきたその精神性や粋を、たくさんの方と一緒に探求できること以上に素晴らしいことはありません。日常にはない能楽の楽しさ、奥深さにぜひ触れてみてください。

 

シテ方

坂井 音隆

Ototaka SAKAI

昭和51年生まれ|青山学院大学卒
観世流 シテ方能楽師|重要無形文化財総合認定

「能楽とは日本の伝統文化の集合体である」

能楽のなかで私が最初に興味を持ったのは、お囃子でした。笛がもたらす美しい旋律、脈拍にも似た鼓の音。これらを聴くとからだの芯からリズムがあふれるような気持ちに駆られたことをいまでも思い出します。能楽はこのほか、完成された様式美を持つ舞をはじめ、古典文学の奥深さや謡の力強さ、能面の美しさ、装束の華やかさなど、たくさんの魅力があります。茶道や華道に通ずるこころを感じる方も多く、どこを入口にしても探求心を満たせる懐の深さは、さながら日本の伝統文化の集合体と言えるでしょう。また近年は、海外からの関心も高まっています。謡の独特の節や、能面、装束が持つ芸術性が注目を集めることは多いですが、シェイクスピアに通ずる古典文学の精神性に感銘を受ける方もまた少なくありません。仁和能楽學舎は、国内のみならず、海外からのお客様にも門戸を開き、能楽や日本文化の持つ侘び寂びのこころを発信してまいります。皆様のご来校をお待ちしています。

シテ方

坂井 音晴

Otoharu SAKAI

昭和53年生まれ|青山学院大学卒
観世流 シテ方能楽師|重要無形文化財総合認定

「能楽の持つ美意識を世界に発信する場として」

能楽のなかで私が最初に興味を持ったのは、お囃子でした。笛がもたらす美しい旋律、脈拍にも似た鼓の音。これらを聴くとからだの芯からリズムがあふれるような気持ちに駆られたことをいまでも思い出します。能楽はこのほか、完成された様式美を持つ舞をはじめ、古典文学の奥深さや謡の力強さ、能面の美しさ、装束の華やかさなど、たくさんの魅力があります。茶道や華道に通ずるこころを感じる方も多く、どこを入口にしても探求心を満たせる懐の深さは、さながら日本の伝統文化の集合体と言えるでしょう。また近年は、海外からの関心も高まっています。謡の独特の節や、能面、装束が持つ芸術性が注目を集めることは多いですが、シェイクスピアに通ずる古典文学の精神性に感銘を受ける方もまた少なくありません。仁和能楽學舎は、国内のみならず、海外からのお客様にも門戸を開き、能楽や日本文化の持つ侘び寂びのこころを発信してまいります。皆様のご来校をお待ちしています。

シテ方

津村 聡子

Satoko TSUMURA

昭和39年生まれ|東京藝術大学大学院卒
観世流 シテ方能楽師|重要無形文化財総合認定

「能を知ることは日本を知ること, 日本人の心を知ること」

能は舞踊をともなう音楽劇です。現在伝えられている約200曲の能はそれぞれが1話完結の物語。
源氏物語・平家物語・伊勢物語、神話や民話などから題材を得て七五調の美しい詞章で作られています。節の旋律にのって繰り広げられる物語は、多くの観客の心を深く打つドラマです。
それゆえに650年余り伝えられ愛されて来ました。能を学ぶことは、日本の文学や歴史を学ぶこと。面や装束は伝統美術を知ること。何より受け継がれる伝統世界は日本人の心を改めて知ることができます。興味の尽きない能の世界を楽しみましょう。

狂言・お囃子方

山本 則重

Norishige YAMAMOTO

昭和52年生まれ|東京藝術大学卒
狂言方 大蔵流|重要無形文化財総合保持者

狂言・お囃子方

竹市 学

Manabu TAKEICHI

藤田流笛方
故11世宗家藤田六郎兵衛に師事

狂言・お囃子方

河村 宗一郎

Soichiro KAWAMURA

石井流大鼓方
父河村総一郎に師事

狂言・お囃子方

後藤 嘉津幸

Katsuyuki GOTO

幸清流小鼓方
先代宗家幸円次郎、父後藤孝一郎に師事

狂言・お囃子方

加藤 洋輝

Hiroki KATO

観世流太鼓方
故16世宗家観世元信、故助川龍夫に師事

顧問

坂井 音重

Otoshige SAKAI

社団法人 観世会 顧問
FEC 民間外交推進協会・日露文化経済委員会 委員
重要無形文化財総合指定者
前・財団法人 野村文華財団 評議員
慶應義塾大学 名誉博士

能楽の持つ美意識を世界に発信する場として

古めかしい。敷居が高い。能楽にそんな心象を抱く方は多いでしょう。しかし、能とはすなわち能力です。ここでいう能力とは、日本人が本能的に持つ美意識と私は考えます。仁和能楽學舎は、この美意識が能楽のなか、人と人とのこころの通い合わせをとおして磨かれることを願い、開かれました。能楽は600余年の古い歴史を重ねるなか、時代とともに変化してまいりましたが、人の幸せやこころの安寧を願う思いは普遍のまま、受け継がれています。一方、いまの世の中はどうでしょう。効率化が進み、多様性が重視されるようになった結果、日本人が大切にしてきた礼儀や人どうしのつながりが希薄しているように感じます。このように、過去と現代、理想と現実の対比が明確な時代だからこそ、能楽は人のこころのなかに自然観や美意識を取り戻す手立てにならなければいけないと思っています。では、これから能楽を学ぶ方には、どういった心構えを必要とするのでしょう。大切なのは、自分のこころの解放と他者を受け入れる思いです。どうぞ気持ちをゆったりと構え、能舞台の静寂さに心身を預けてみてください。すると、能楽からの学びはまっすぐこころに届き、反芻し、あなたを新しい世界へといざなうことでしょう。仁和能楽學舎は、『こころの豊かさの共有』をテーマに、能楽の美意識を世界に力強く発信する場を目指してまいります。